近年子供の近視が非常に増えています。スマホの普及や長時間の使用などで、近視の低年齢化が問題視されています。近視が進行すると、網膜剥離や緑内障など様々な眼の疾患のリスクが増大します。当院では小児の近視進行抑制に対する治療に力を入れています。
長年にわたりこの地域で眼科診療を行う中で、近視の進行で眼鏡やコンタクトレンズの度数がどんどん強くなっていくお子様や、大人になってから強度近視が原因で眼の病気にかかる方々を見て、近視進行抑制治療を積極的に取り入れたいと考えました。『オルソケラトロジー』『低濃度アトロピン(マイオピン)点眼』『多焦点ソフトコンタクトレンズ(遠近両用コンタクトレンズ)』などの治療をご提供していますので、気になる方は一度ご相談ください。
オルソケラトロジーは、特殊な形のハードコンタクトレンズを睡眠時に装着して一時的に角膜の形状を変化させ、良好な裸眼視力を得ようとする屈折矯正法です。 レンズを外しても一定時間はその形状が続くので、日中は眼鏡やコンタクトなしの裸眼で過ごすといったことが可能になります。
オルソケラトロジーは、近視の矯正が得られるだけでなく、眼軸の延長(=近視の進行)が抑制されることが多くの研究により示されています。レーシックと異なり手術を伴わないので心理的・身体的に負担が少なく、治療を中断することでいつでも元の状態に戻ることができます。 また夜間に大人の管理のもとで装用できることから、年齢の低いお子様で、確実な近視進行抑制効果を得たい場合やスポーツをしている場合に選択されることが多くあります。 ただし、特殊な形状のハードコンタクトレンズで角膜を圧迫することから、適切なレンズのケアや管理を怠ると角膜感染症など失明につながる重篤な合併症を起こすこともあります。 常に大人の管理の元で、医師の指示を守って使用することとなっています。保険適用外のため、自費診療となります。
アトロピン点眼は、小児の斜視や弱視の診断や治療に頻繁に使われているものです。 アトロピン点眼には近視進行を抑制する強力な効果があることが判っていますが、1%アトロピン点眼(通常の濃度)は、副作用として強い眩しさや近くを見たときのぼやけがあるため、長期に使用することは困難でした。 しかしシンガポールの研究で、0.01%の低濃度のアトロピン点眼であっても近視進行のスピードを効果的に抑えられることが実証され、さらに1%アトロピン点眼でみとめられた副作用を抑えることができます。1日1回夜寝る前に点眼するだけでよく、手間もそれほどかかりません。
●このような方におすすめです
・軽度または中等度の近視の方
・6歳から12歳のお子様
●マイオピンの治療費用
保険適用外のため自費診療となります。
マイオピン0.01%:1本3,300円(税込)
各診療費:1,500円(税込)
●マイオピン治療の流れ
最初にお子様の目の状態や視力を検査し、診察を行なったあとに処方となります。
まずは1本処方し、副作用などの確認のため1カ月後に受診していただきます。
その後は3カ月毎の定期受診をしていただきます。
マイオピンの詳細はこちら:https://www.myopine-eyelens.sg/
多焦点ソフトコンタクトレンズは、老眼矯正のための遠近両用コンタクトレンズとして知られています。海外では各社が様々なデザインの多焦点ソフトコンタクトレンズを子どもの近視進行抑制のために開発しており、その有効性が示されはじめています。
1日使い捨てのソフトコンタクトレンズのため、衛生面や管理も比較的安全です。また、近視が強いためにオルソケラトロジーの適応範囲を超えたお子様にも使用可能です。しかし日中に装用するため、ゴミが入った時などに、自分で取り外すといった自己管理が必要なため、比較的年齢が高いお子様が対象となります。
●このような方におすすめです
・近視の進行が気になる方
・オルソケラトロジーの適応とならない方
・ご自身でコンタクトレンズの管理ができる方
●多焦点ソフトコンタクトレンズの治療費用(保険診療)
当院では【シード 1day Pure EDOF】を処方しています。
コンタクトレンズ費用:1箱(片眼、約1カ月分) 3,800円(税込)
各診療費(保険診療)